総じてニッチでマニアックな、メンズファッション誌の話

THE RAKE VOL1シンガポールのメンズファッション誌『THE RAKE(ザ レイク)』の取次ぎが、いよいよ日本でもスタートした。

日本でいう『メンズイーエックス』、『メンズプレシャス』が予習と復習のための教科書とするなら、『THE RAKE(ザ・レイク)』は、更に応用のための専門書といったところか。

ファッションのみならず、車や時計など雄々しいメンズの嗜好の世界が、アカデミックで説得力のあるヴィジュアルとレポートと共に盛り込まれ、ファッションマガジンの元祖であるコンデナスト社のメンズ誌とは、これまた一線を画す。

この感じは、昔の『MEN’S CLUB DORSO(メンズ クラブ ドルソ)』のようでもあり、はたまた、フランスの『Monsieur(ムシュー)』にも近いものはあるが、ニッチなメンズクロージングを全体のメーンとしつつも、富裕層向けのライフスタイルマガジンとしても相通じるところがある。

富裕層に向けてメンズファッション誌のマーケットの妙を見出すとは、さすがは新進の経済大国シンガポールのマガジン。

しかも、この本が抜群に素晴らしいのが、エディトリアルストーリーのファッションヴィジュアルに、センシュアルなグラビアでのごまかしや、ゲイの感性に訴える感覚に逃げたファッションページが一切ない。

「感覚は無知の裏打ち」。

メンズのファッションについて、世界でも人気のストリートブランドを取り仕切る、らつ腕で洒脱な友人がそう説いてくれたが、まさにその通りだと思う。

世界共通の、リアルなメンズクロージングによるリアルなライフスタイルの投影。

このマガジンの、そんなストレートぶりが、何より一番気持ちがいい。

onoda hitoshi / 小野田史

スタイリスト / 小野田 史 (おのだ ひとし)

1976年生まれ。スタイリスト、ファッションディレクター。広告やマガジンを中心に、俳優やタレントやミュージシャンなどのスタイリングのほか、編集や執筆、またショーやカタログのファッションディレクションからブランドのブランディングなど総合的に手掛けている。著書に『ファッションデザイナーの仕事がわかる本』(ソシム)。www.onodahitoshi.com