本人の中身が新しければ、着ているものも新しく見える

川久保玲はっとした。僕の中身は新しいだろうかと自分に問いかけてみると、これはどうもはなはだあやしい。

ここ2、3年の自分の傾向からすれば、間違いなくクラシックを志向している。そして、そのあまり、精神までもが過去へと逆進していたのではあるまいか? 僕が着ているものは、古くさいだけではなかったか?

72歳にしていまだ前衛の川久保玲さんの言葉には、前進する意識があふれている。80年代初頭に山本耀司さんとパリに殴り込みをかけ、「黒の衝撃」は揺るぎないものとなった。あれから30年以上、コムデギャルソンはずっと前進を続けている。

「ファッションはたった今、この瞬間だけのもので、それを今着たいと思うから、ファッションなのです。はかないもの、泡のようなもの。そんな刹那的なものだからこそ、今とても大切なことを伝えることができるのです」

ファッションは一過性のもの、スタイルは永遠のもの。そんな受け売りを真に受けて、僕はファッショナブルなものにあまり価値を置かなくなった。ある程度評価が定まった5年後、10年後も変わらず着られる服で、スタイルを熟成させていこうとなんとなく思っていた。

しかし、またも気づかされることは、いまが大事だということ。いまこの時、この瞬間を真剣に生きなければ、僕の中身は新しくならないということ。クラシックでもモードに見えるような“新しい人間”でいられたらと思う。

朝日新聞デジタルインタビューより引用

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