「オープンなものに可能性がある」ANDREW BUNNEY(アンドリュー バニー)

Andrew Bunneyアンドリュー バニーとはじめて対面してみて思ったのは、彼にとっては心外かもしれないけれど、ジュエリーをつくるような人には見えないということだった。いろいろと彼に話を聞いてみるまでは。

アンドリューは、ロンドンを拠点とするジュエリーブランド、BUNNEY(バニー)のデザイナーで、いままでさまざまなブランドのコンサルティングも手がけてきた。今回は、ROUNDEL by LONDON UNDERGROUND(ラウンデル バイ ロンドン アンダーグラウンド)にクリエイティブディレクターとして迎えられ、バニーとともに世界に発信するオフィシャルプロジェクトでの来日だ。

真夏を感じさせる先週金曜、僕は彼を訪ねた。インタビューはエキシビションの屋外に涼しげに立てられたパラソルの下で行われた。

日本で本格的にブランド展開するとのことだが、日本のマーケットの面白さをどうとらえているのだろう。

「日本にはもう何度も来ていて、仕事もしている。バニーも販売してたよ。そういう意味ではすでに日本に深く入っている。日本のマーケットは、エキサイティングだと思うね。ハイブランドのフラッグシップはあるし、ストリートブランドもある。それらがミックスされているところに興味がある」

僕は時計以外、アクセサリーやジュエリーは身につけない。けれど、バニーのバッジならいいかもしれない。こんな僕でも興味がわくアンドリューのクリエイションの源泉はどこに?

「バニーについては、コアなところで、いろんな人がいろんなスタイルでつけているところに興味がある。この人だったらどうつけるんだろうとその人のスタイルを考えながらつくる。これがインスピレーションになるんだ。あるブランドと仕事をさせてもらったときのことだけれど、そこはオープンなところがよかった。たとえば、あなたが着ているラコステのように、フレラコにこだわる人もいれば、ルーズに着るのが好きな人もいる。そういう可能性があるものが好きなんだ。でもそれは、ワニとえりの形、つまりブランドの核があるからいろんな方向にいけるのだと思う。仕事を決める時も、核となるメッセージが強いかどうかは重要。もちろんバニーもオープンだと思っているよ」

服とジュエリーの幸せな関係というのは、どう思う?

「バニーは服につけるようなものをつくっている。イヤリングより直接つながっている。ジュエリーはクラシックなものと合わせるのが相性がいいと思うよ。ポロシャツはテニスをするときに着たものをファッションに置き換えている。その置き換えは、ジュエリーも倣うことができると思うんだ。テニスでは着なくなったけれど、それに替わる新しい着方がファッションでは発見していける」

ジュエリーやアクセサリーをつけるときのマイルールというのはある?

「いつも時計はつけている……。ん〜、実はすごい細かくあるんだけど……。時計のストラップはミリタリーで、実戦部隊で使われていた素材のものだけれど、その工場を方々探したりした。あとは、小さめなサイズを選んでいる。長くなるからこのへんで」

Andrew Bunney

日本には古くから装身具をつける風習があった。ものにはすべて霊魂が宿っているというアニミズムの思想も。さて、魔法使いの国、イギリスでは? 興味本位で聞いてみた。

「ハリー ポッターかい?(笑)。英国にはそこまでないよ。ただ、古いものでも新しいものでも見てなにかを感じるということはあると思う。ハイジュエリーなんかはきちんとつくられているので、何十年何百年もつものだと思うけれど、服はどんなにいいものでもそうは続かない。ジュエリーは受け継がれるものとして、そういうスピリットが宿る可能性があるかもね」

ところで、なにか影響されたものってある?

「モッズの考えからは影響を受けている。モッズというとパーカーとスクーターのイメージが強いけれど、それは違う。モッズのはじまりは、戦争が終わった後に経済が落ち込んでいて、クレジットカードに似たシステムなのだけどそれを若者にも与えたから。それで若者もものが買える状態になった。学校が終わったあとにナショナルサービスをしなくてよくなったので、いろんなものを買いあさった。これがモッズだよ。はたからはパンクのようにクレイジーに見えるけれど。アメリカのジャズやイタリアのスクーターの情報が入るようになって、なにを言わなくとも仲間内での暗黙の了解みたいなのがあったのがいいんだよね」

10代の頃のこと聞かせてくれる?

「流行っていたものはやってなかった。13か14歳の時はスケートボードが流行っていた。その当時は情報量が少なくて、10マイル先にあるブックストアにしかない雑誌を見て、アメリカのスケーターはこうなんだと、うちに持ち帰ってああだこうだとやっていたのを思い出すね。ぼくはアメリカの音楽よりイギリスのほうが好きだったので、スケートボードとイギリスのイメージができあがっていった。スケートボードにはパンクと同じスピリットを感じる。そこからファッションや音楽ができたり、アートができたり、ライフスタイルができたり、やっていることはいっしょなのかと思った。ファッションは大人になってから。その時にいいなと思ったのがヘルムトラングで、そこからファッションに入っていったかんじかな」

英国紳士もいいけれど、ユース世代の普通のイギリスがもっと浸透するといいのだけれど?

「その点ではROUNDEL by LONDON UNDERGROUND(ラウンデル バイ ロンドン アンダーグラウンド)(http://www.roundel-london.com/)はパーフェクトだよ。ロンドンのストリートがもっとも活気があった1980年代の写真集を出したんだ。10年間のスタイルの変化がよく見てとれるよ。ラウンデルでは、昔のスタイルやカルチャーをそのままなぞったものではなくて、地下鉄を使って新しいものを発信していきたいと思っている」

最後にラグジャリーについて、考えを聞かせてくれる?

「すごくお金を持っている人だったら、ビルを建てるんじゃないかな。建てたらまたお金が入ってくる。銅像を建てたらそのままだけれど。思うに、公園を持つことがいちばんの贅沢じゃないかな。土地は持っているけど、なにをするわけではなくそこにある。きらびやかなものばかりではなく、自分に使える時間もぼくにはラグジャリーなもの。

ぼくはオークションカタログのコレクターだけれど、カタログでよく見るのはウィンザー公時代のもの。奥さんに買ってあげていた小物がいっぱいある。もの自体がラグジャリーだけど、実際に使っていたことがラグジャリーだよね。その中でもぼくがいちばんかっこいいなと思ったのは、生地スウォッチを入れるシルバーケース。いろんなところに家があるので、グレンチェックはあそこにあるみたいなね」

アンドリュー バニーはイギリス人である。装うことへの無関心を装うことが板についている。ジュエリーとは見せるもののはずなのに、彼は逆に極力見せない。逆説的なアンダーステイトメント? そんなジュエリースタイルに僕は共感を覚える。

INFORMATION
BUNNEY/Dover Street Market Ginza、Biotop、伊勢丹メンズ館 1F、United Arrows & Sons、ARTS & SCIENCEほか。

ROUNDEL by LONDON UNDERGROUND/日本では2014AWシーズンより、Dover Street Market Ginza、伊勢丹メンズ館2F、United Arrows & Sons、Beauty & Youth、WISM、SUPER A MARKET、LUI’S、各店舗で展開。

Andrew Bunney

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